最も根本的なことですが、便秘になるのは生命の維持に必要な栄養分を摂取するために食べるからです。
そして、食べて栄養吸収が終わった老廃物を体外に排出しようとする時に起こるアクシデントが便秘です。
そのため、根本の原因となっている食べ物を身体が良い働きをすることを助ける物にすれば、便秘解消や予防は容易に行なうことができます。
また、便秘解消の即効性や予防効果を高める食べ物の大半は、最近、その働きが注目されている腸内フローラの状態を良くするのに効果的な食べ物とも重複します。
そのため、便秘解消の即効性や予防効果を高める必要の無い方でも、美容や身体全体の健康維持に大きく影響している腸内フローラを良い状態に保つということで、毎日の食生活にこれらの食べ物をバランス良く摂取することも重要です。
食物繊維の必要性と健康
「食物繊維は消化されずに、小腸を通って大腸まで達する食品成分です。
便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。
現在、ほとんどの日本人が不足気味の成分ですので、積極的に摂取することが勧められます。」
(中略)
「厚生労働省策定の食事摂取基準[2005年版]によれば、1日あたりの目安量は
30~49歳で男性26g、女性20g、50~69歳で男性24g、女性19gとなっています。
エネルギー摂取量とあわせて考え、おおよそ1000kcalに対して10gの食物繊維を取ることが望ましいとされています。」
(中略)
「食物繊維は多くの腸疾患や代謝性疾患に対して、予防効果のあることが認められています。
便の量を増加させ、腸内のビフィズス菌や乳酸菌の割合を増やすことによって便秘を改善し、腸内における発癌物質の生成を抑えます。」
また、食物繊維は便秘解消の即効性を高めることはもちろん、予防として便秘になりにくい体質作りやダイエット効果を出すことにも優れています。
さらに、食物繊維は水に溶けにくい不溶性食物繊維と水に溶けやすい の2種類に分類され、身体にもたらす代表的な良い効果は以下のようになります。
- 不溶性食物繊維:胃や腸で膨張して便容積を増大させ、刺激を与えて排便を促進
このように、食べ物に含まれる食物繊維の含有量など、厚生労働省が推奨する内容を意識して、毎日の食生活を送ることも便秘解消や予防にとって重要なことです。
こまめな水分摂取で食物繊維の便秘解消・予防効果を引き出す
そして、食物繊維の効果を引き出すためには、適度な水分摂取を行うことも大切です。
食物繊維は腸に届くと腸内の水分を吸収することで膨張し、その効果により便量を増やしたり、腸内の不要な老廃物(宿便)などを絡め取りながら体外に排出されます。
また、食物繊維が膨張する効果を活かして、食べた後の満腹感を利用したダイエット食品などもあります。
もともと、水分補給をこまめに行うことは、慢性便秘が続いてる状態に対して、腸内で固まった便を排便しやすいよう柔らかくすることにも良いのですが、バランス良く食物繊維を含む食品と水分を摂取することで、便秘を解消させる相乗効果にも期待できるのです。
不溶性食物繊維を含む食べ物について
不溶性食物繊維は主に、きのこ類・豆類・イモ類・野菜類・穀類などに多く含まれています。
偏食傾向のある方は不足することがあるので、豆類を意識的に摂るようにすると良いです。
豆類は最も手軽に不溶性食物繊維を摂れる食材なのです。
なお、ストレスが原因となる痙攣性便秘の場合、腸に刺激を与える不溶性食物繊維の摂り過ぎはいけません。
適量の摂取に留めておいてください。
不溶性食物繊維を手軽に摂取する方法として、毎日のご飯を玄米、発芽玄米など含む『雑穀ご飯』に変えることが良い方法です。
全体的にもバランス良く食物繊維、カルシウム、ビタミン、ミネラルなどが含まれている物を摂取できるからです。
毎日食べている主食のご飯をほんの少し変えるだけでも、便秘解消や予防ができるのは、とても魅力的と言えるのではないでしょうか。
水溶性食物繊維を含む食べ物について
水溶性食物繊維は昆布、わかめ・こんにゃく・野菜類・果物類などに多く含まれています。
昆布やわかめなどの海藻類は水溶性食物繊維のアルギン酸が豊富に含まれています。
こんにゃくには、グルコマンナンが含まれていて、腸の働きを活発にしてくれるので、これが「こんにゃくを食べると、お腹がキレイになる」と言われる所以です。
また、排便しやすい便の形成などにも役立ち、カロリーがゼロという点から、たくさん食べても太りにくい食材として、ダイエット食などにも利用されています。
水溶性食物繊維の摂取方法なら、海藻類をサラダで食べる方法が、とても合理的でオススメです。
調理が手軽な点やフコイダンというヌルヌル成分が腸内環境の改善や免疫強化をしてくれるためです。
これは、大腸の働きが鈍くなった弛緩性便秘の方に良いとされています。
食べ物に含まれる食物繊維の含有量
厚生労働省が推奨している1日の食物繊維摂取量は、年齢や男女の違いはありますが、おおよそ、20~25g前後の摂取か、1000kcalに対して10gの食物繊維摂取を推奨しています。
食べ物に含まれる食物繊維の種類と量は、以下の内容を参考にされてみてください。
食品100gあたりの食物繊維含有量(g)
|
||||
---|---|---|---|---|
分 類
|
食 品 名
|
|
不溶性食物繊維
|
総 量
|
き の こ 類
|
きくらげ(乾) |
-
|
57.4
|
57.4
|
干ししいたけ |
3
|
38
|
41
|
|
しいたけ |
0.5
|
3
|
3.5
|
|
なめこ |
1
|
2.3
|
3.3
|
|
本しめじ |
0.7
|
2.6
|
3.3
|
|
海 藻 類
|
ひじき(乾) |
43.3
|
-
|
43.3
|
焼き海苔 |
36
|
-
|
36
|
|
わかめ(乾) |
32.7
|
-
|
32.7
|
|
昆布(乾) |
27.1
|
-
|
27.1
|
|
豆 類
|
ひよこ豆フライ |
1.1
|
19.9
|
21
|
いんげん(乾) |
3.3
|
16
|
19.3
|
|
えんどう(乾) |
1.2
|
16.2
|
17.4
|
|
大豆(乾) |
1.8
|
15.3
|
17.1
|
|
枝豆 |
0.4
|
4.6
|
5
|
|
きな粉 |
1.9
|
15
|
16.9
|
|
挽きわり納豆 |
2
|
3.9
|
5.9
|
|
野 菜 類
|
切り干し大根 |
3.6
|
17.1
|
20.7
|
ごぼう |
2.3
|
3.4
|
5.7
|
|
大根(葉) |
0.8
|
3.2
|
4
|
|
かぼちゃ |
0.7
|
2.1
|
2.8
|
|
ほうれん草 |
0.7
|
2.1
|
2.8
|
|
人参 |
0.7
|
2
|
2.7
|
|
キャベツ |
0.4
|
1.4
|
1.8
|
|
はくさい |
0.3
|
1
|
1.3
|
食品100gあたりの食物繊維含有量(g)
|
分 類
|
食 品 名
|
|
不溶性食物繊維
|
総 量
|
果 物 類
|
干しがき |
1.3
|
12.7
|
14
|
干しいちじく |
3.3
|
7.6
|
10.9
|
|
干しプルーン |
3.4
|
3.8
|
7.2
|
|
アボガド |
1.7
|
3.6
|
5.3
|
|
りんご |
0.3
|
1.2
|
1.5
|
|
バナナ |
0.1
|
1
|
1.1
|
|
い も 類
|
さつまいも |
1.4
|
2.8
|
4.2
|
やまいも |
1.2
|
1.6
|
2.8
|
|
さといも |
0.8
|
1.4
|
2.2
|
|
じゃがいも |
0.6
|
0.7
|
1.3
|
|
こんにゃく |
0.1
|
2.1
|
2.2
|
|
穀 類
|
小麦粉(薄力) |
1.2 |
1.3
|
2.5
|
コーンフレーク |
0.3
|
2.1
|
2.4
|
|
胚芽精米 |
0.2
|
0.6
|
0.8
|
|
うるち米 |
-
|
0.6
|
0.6
|
|
白米 |
-
|
0.3
|
0.3
|
善玉菌を増やすことで便秘解消や予防を助ける食べ物
次に、オススメの食べ物はヨーグルトやオリゴ糖です。
両方とも、腸内の環境を整えることには欠かせない、善玉菌と言われるビフィズス菌や乳酸菌を増やす効果のある食べ物です。
ヨーグルトを食べることによって、善玉菌が優勢な腸内環境となり大腸全体の働きが活発になるので、便秘解消や予防を助けます。
ヨーグルトの中にも、若干カロリーが高めな製品もありますが、その点は、低カロリータイプの製品を選べば問題ありません。
また、最近は、飲むタイプのヨーグルトもかなり製品が充実しているので、それらを利用して、ビフィズス菌や乳酸菌を増やすのも効果的な方法です。
ほかにも、牛乳に菌種を加えるだけで、手軽に良質な乳酸菌が含まれている手作りヨーグルトが作れる製品などもあるので、これらを利用するのも良いです。
ちなみに、ヨーグルトが苦手な方は、豆乳を飲んでみましょう。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしてしまう方でも、体質にもよりますが豆乳なら意外と問題がない場合も多くて、豆乳には食物繊維、イソフラボン、サポニンなど大豆由来の身体に良い成分が、ふんだんに含まれています。
これらの理由により、豆類をあまり食べない方にとっても豆乳は最適な飲料と言えるのです。
腸内で生きている善玉菌(ビフィズス菌の)養分になるオリゴ糖
そして、ヨーグルト以上にビフィズス菌を増やす効果が高いのがオリゴ糖食品です。
ヨーグルトに含まれているビフィズス菌や乳酸菌の場合だと、食べた後に胃腸などの消化器官を通過する時に分泌される、消化酵素などの影響で、腸まで届く数が減少してしまいます。
しかし、オリゴ糖の場合は食べた後も、ほとんど消化酵素などの影響を受けず大腸まで届いて、大腸内で生きているビフィズス菌を直接、活発にさせます。
そして、オリゴ糖の場合は、母乳や粉ミルクにも含まれてる成分なので、赤ちゃんの便秘解消や妊婦さんの便秘解消など、
今まで慢性便秘で悩み続け即効で解消されたい方、これからシッカリ便秘予防を行いたい方は、毎日の食事で、これらの食べ物をバランス良く摂取するようにしてください。
また、ここでは詳しく挙げていない食べ物では、バナナや牛乳も便秘解消に効果的な物なので、これらの食べ物の特性を活かして、摂り入れることも、腸内環境を整えるのに良いです。
世代別・女性特有の便秘原因と即効性のある解消法
赤ちゃんの便秘解消と予防
母乳、粉ミルク、離乳食の赤ちゃんの便秘原因や解消法について
子供の便秘解消と予防
幼児から小学生の子供に多い便秘原因や解消・予防法について
思春期の便秘解消と予防
大人の身体に変化する思春期の便秘原因や解消・予防法について
更年期の便秘解消と予防
ホルモン分泌の変化や更年期障害での便秘解消・予防法について
高齢者の便秘解消と予防
体内の水分や運動不足による高齢者の便秘や解消・予防法について
女性に便秘が多い理由と対処法
女性に便秘の方が多い理由と女性特有の生理、妊娠、出産との関連