女性は妊娠すると黄体ホルモンなどの影響で、体調にさまざまな変化が出ますが、とくに初産の女性は、このような身体の変化に戸惑うことが多いかと思います。
たとえば、妊娠初期であれば強い吐き気などで食欲がほとんど無くなるつわりや妊娠28週(8ヶ月)から出産直前である臨月に表れやすい妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)などが妊娠期間中だけに表れる独特の症状です。
このような妊娠期間中は身体の変化による悩みを抱える妊婦さんが多いのですが、妊娠初期から出産までの10ヶ月の期間に関係なく、妊婦さんの悩みで最も多いのが便秘と言わます。
そして、便秘はつわりや妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)などにも、なんらかの影響を与えているのではないかとも考えられています。
さらに、その便秘が赤ちゃんの命の危機、つまり早産や流産といった結果につながってしまうことも、ないとは言えないということはご存知でしょうか?
便秘と早産や流産にはつながりがあるので、赤ちゃんが無事にお母さんのおなか中でスクスクと育つことができるようにするためにも、便秘を上手に解消して予防していきたいところです。
便秘による排便時のいきみが原因の早産や流産
便秘状態ではなく習慣的に毎日きちんと排便できているようでしたら腸内で便が固まりすぎることがないので、必要以上にお腹に力を入れることは少ないです。
つまり、いきむことをしなくても簡単に排便ができるということです。
しかし、便秘が長引けば長引くほど、腸内で便を柔らかくするための水分が盗られてしまうため、どんどん便が硬くなり排便されにくくなってしまいます。
便秘が引き起す切迫流産と切迫早産とは
そうなると排便の為にお腹に力を入れないと出にくく、必要以上にいきむ状態になり、それが切迫流産を引き起すこす原因の1つではないかと考えられています。
また、切迫流産という言葉を初めて聴かれる方もいるかもしれませんが、実際は妊婦さんの約15%(6、7人に1人)に表れると言われ、一度、切迫流産になると、症状によってはそれ以上の流産にならないようにベットで横になる絶対安静の状態で入院の必要があります。
そして、切迫流産は妊娠21週までのことを指しますが、これとは別に妊娠22週以降から37週までには、切迫早産のリスクがあります。
そのため、妊娠期間中はあまりお腹に力を入れたりするようなことは避けるべきで、こういった理由から早産、流産と便秘は無関係ではないと言えるのです。
妊娠前から元々便秘気味の方、妊娠してから便秘になった方と色々なタイプの方がいると思いますが、どちらにしろ慢性的に便秘というのは自分自身だけではなく、赤ちゃんにとっても良くないことです。
また、妊娠期間中だけでなく出産後も便秘の状態のままだと、特に母乳育児を考えられている方は、母乳の質が低下するなどの悪影響があるので、できれば出産前である妊娠期間中に便秘になりくい体質を作ることが重要です。
しかし、妊娠期間中は市販の下剤での便秘解消は禁忌なことや、できれば産婦人科で処方される便秘薬のマグラックスなどに頼るのも心配な方は、生活習慣や食事などで母子ともに負担の掛からない方法で便秘解消や予防をしていけるのが一番です。