便秘はダイエットによって引き起こされることがあります。
便秘とダイエットの話としては、最近、非常に危惧されている下剤を頻繁に用いた、危険な下剤ダイエットなどがあります。
また、出産されて間もないお母さんが、妊娠前の体型に戻そうとする産後ダイエットは、母乳で赤ちゃんを育てているお母さんの場合は、過剰な運動や食事制限などをすることによって母乳の質が下がって、赤ちゃんに必要な成分まで不足し、赤ちゃんの成長や便秘原因として影響することがあります。
ほかにも、間違ったダイエット法を続けて、その方法を止めた途端、とんでもないリバウンドが表れることもあります。
そんなことだと『何のために今まで一生懸命ダイエットしたの?』と思ってしまいますね。
では、なぜダイエットをすると便秘になりやすいのでしょうか。
ダイエットが原因で便秘になってしまう理由や便秘にならず効率の良いダイエットの方法などを解説します。
食事を制限するダイエットの根本的な間違い
まず、ダイエットをする方の多くが、食事を減らそうとします。
人によっては、1日2食をカロリーの低い食品に置き換えるダイエットや、脂肪分をほとんど摂取しない方法をとる方もいます。
確かに、食事の回数を減らすことで消費するカロリーが、食事で摂取するカロリーを上回れば、体重は減少します。
しかし、便の材料になる食品が体内へ入らなければ、全体的な腸内の便の量が増えないことで、排便回数が減るだけでなく、古い便が排出されずに腸内に残ったままになります。
また、極端なダイエットによって、ビタミンやミネラルなどの摂取が不足すると、腸内の環境が悪化し、善玉菌が減少して悪玉菌を増やすことにも繋がります。
このように、単純に食事量を減らしても、体内の古い便は排出されず、腸内環境を良くするのに必要な栄養素も不足して、悪玉菌が優勢な腸内環境となり便秘になってしまいます。
炭水化物抜きダイエットの問題点
また、一部の芸能人やマスコミで取り上げられている「炭水化物抜きダイエット」も非常に問題があります。
確かに炭水化物は主に米、パン、麺類などの食品に含まれ食事として摂取した後、消化酵素などで分解されると糖質に変わり、過剰に摂取すると脂肪に変わるという特性があります。
しかし、炭水化物が分解された糖質は、脳全体を動かす唯一のエネルギーとなる成分なので、炭水化物の摂取量が減ると集中力が持続しなかったり、頭がボーっとしやすくなります。
さらに、エネルギー不足で脳全体の働きが低くなるということは、交感神経と副交感神経で構成された自律神経も乱れやすくなります。
たとえば、脳のエネルギー不足で自律神経の交感神経側の働きが乱れると、ダイエットで運動をしたとしても体温上昇や発汗など脂肪を燃焼させるために必要な代謝機能を働かさせる指令が脳から発されにくくなります。
逆に、副交感神経側が乱れると、腸内の溜まった便を排出する大腸に蠕動運動をさせる指令が脳から発されにくくなります。
つまり、これまで過剰に摂取していた炭水化物を適量に調整することはダイエット効果にも繋がりますが、炭水化物を全く摂取しない炭水化物抜きダイエットは、デメリットしかないだけでなく慢性的な便秘体質を作る原因にもなってしまいます。
血液中に必要な栄養素減少での代謝機能の低下
さらに間違った食事制限ダイエットをすれば、血液中に存在する様々な栄養素が減少して貧血や脱水を招くだけでなく、血流悪化で身体の隅々に血液が巡りません。
特に年間で1番便秘になりやすい季節の冬では、同時に末端冷え症や低体温症を引き起こしたり、体内の塩分を調節するカリウムが不足すると、身体が浮腫(むくみ)やすくなってしまいます。
また、腸にも血管が多く分布してますが、必要な血液が行き渡らないと大腸の動きを鈍くして、便秘を招くこともあります。
このような食事制限ダイエットでは、血液中に含まれてる身体の代謝機能を働かせる栄養素まで不足して、皮下脂肪や内臓脂肪の燃焼効率まで悪くなってしまいます。
その結果、ある程度までは体重が減っても、それ以降はほとんど減らなかったり、ダイエットを止めた途端に身体が不足していた脂質など急激に吸収することがリバウンドとして表れるのです。
また、腸の動きが鈍くなってくると腸閉塞(イレウス)の原因になって、便秘による慢性的な便の貯留は、肌荒れの原因となるアレルギー物質や発がん性の物質などを身体のデトックス(解毒)機能で排出できてないことで、大腸がんや直腸がんの原因にもなります。
女性における、がんの部位別死亡率の第1位が大腸がんである理由として、全体的に女性は便秘が多いからという研究報告もあるほどです。
下剤ダイエットの危険性
また、下剤を使うと一時的に体重が落ちるため、下剤を乱用した下剤ダイエットをされてる方もいます。
確かに下剤は、成分の刺激で大腸に強制の蠕動(ぜんどう)運動を起こさせたり、腸内の水分を増やすことで便秘解消を即効にさせる作用があります。
しかし、すでに摂取した食べ物の吸収を抑制する作用は一切ありません。
それは、食物が大腸に到達した時点で、ほとんどの栄養素が体内に吸収されているためです。
下剤を使用することで腸が動き、排便があるかもしれません。
しかし、下剤に頼ってばかりいると、直腸の神経が働かなくなってしまい、自然に便意を感じられなくなってしまいます。
下剤による便秘の悪化を防止するためにも、ダイエットは正しい方法で行うことが大切です。
便秘にならない効果的なダイエット法は
まずは、『食事を減らす=ダイエット効果』という単純な考え方を変えるべきです。
たとえば、今まで過剰摂取してたと思える炭水化物や脂質などを含んだ食品は、ある程度は摂取を減らす必要はあるかもしれませんが、身体に重要な代謝機能を低下させるほど減らすのは間違いです。
脂肪を燃焼させるなど、新陳代謝を含む身体の各機能を維持するため食べる必要がある物は、必ず食べるようにしてください。
そのうえで、今までの食生活を見直して、生活習慣などにも見合った必要最低限のカロリーは摂取するようにしてください。
そうしなければ、ダイエットの成否だけでなく腸内フローラの状態まで悪くなってしまうこともあります。
ダイエット期間中の食生活を見直す
必要以上のエネルギーをとってないか
「肥満している人で「私はたいして食べていない」という人は少なくありません。
しかしこういう人たちに食事日記をつけてもらうと、たいてい必要以上のエネルギーをとっているんです。
まずは標準体重と活動量から必要なエネルギーを計算して1日の適正なエネルギー量を知りましょう。」1日に必要なエネルギー(kcal)
=標準体重(kg)×標準体重1kg当たりに必要なエネルギー活動別・標準体重1kg当たりの一日に必要なエネルギー
軽労作(デスクワークが主な人、主婦など) 25~30kcal 普通の労作(立仕事の多い職業) 30~35kcal 重い労作(力仕事の多い職業) 35~ kcal 引用元: 肥満を防ぐ食事|厚生労働省
たとえば、体重が45kgで事務職などデスクワークや主婦の方で30kcalで計算した場合では
【標準体重:45kg×軽労作:30kcal=1日に必要なエネルギー:1350kcal】となります。
このように、自分の生活習慣に見合ったカロリー量を目安にしながら、食事には腸内をキレイにする効果の繊維質を含んだ野菜などの食物繊維、腸内環境を整えて排便を促す蠕動運動を助ける善玉菌を増やす効果のヨーグルトなどの乳製品やオリゴ糖食品などをバランス良く摂取します。
これなら、身体が各機能を維持するための代謝機能まで損なうことは防げます。
毎日が忙しくて、どうしても食生活や生活習慣が不安定になってしまう方は、手軽に栄養補助を行なうことができる便秘解消のサプリメントなどを利用するのも良いと思います。
便秘解消や予防も兼ねる簡単なダイエット運動
そのうえで、カロリーを消費する適度な運動を行います。
いきなり長距離をジョギングするような無理はせずに、最初は近所を散歩するようなゆっくりとしたウォーキングなどで身体を慣らして、少しずつステップアップするようにしてください。
ここで、大切なのは1日に10の運動をこなすよりも、1日1の運動を10日間続ける継続性です。
また、適度な運動は、カロリー消費の効果だけでなく、運動によって身体に起こる振動は、大腸に排便を促す良い刺激にもなります。
そして、運動が終わった後は『ちょっと多いかな?』と思うくらいの水分補給をしてください。
これは、運動後の脱水症状を予防する効果だけでなく、腸内の水分が多くなることで宿便として硬くなって残っている老廃物を柔らかくして、体外に排出されやすくなります。
それぞれの方には体質があるので、その効果は異なるかもしれませんが便秘にならない効果的なダイエットを行ないたい方は、これらの点に注意して実行されてみてください。
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