妊娠中の便秘には、かなり注意が必要です。
なぜかと言うと人によっては、無理に排便しようといきむことで子宮が過度に収縮し、その結果、便秘が流産や早産を招く危険性があるためです。
妊婦さんが挙げる身体のトラブルとしては多い便秘ですが、たかが便秘と安易に捉えずに、おなかの赤ちゃんのためにも体調の変化に気を付けていくことが大切です。
妊娠すると10ヶ月の間で女性の身体は変化していきますが、最初は、ホルモンの分泌バランスが変化から始まって、それに合わせておなかは日を追うごとに大きくなっていきます。
また、出産も間近になってくると、胎内の赤ちゃんも最大限にまで成長してる状態なのですが、それに関連して大腸などの内臓器官が圧迫されるだけでなく、周辺の血管も圧迫されることでの血行不良などが起こることもあります。
そうなると、特に気温が低下する冬場になると、身体の末端にまで血液が循環されないことでの冷え性や体温そのものが上昇しない低体温症などが表れることもあります。
身体が冷えることは、さらなる便秘の原因にもなってしまうのですが、全体的に気温が低下する冬は、妊婦さんに限らずに一年で最も便秘の悩みを抱える方が多くなる季節でもあります。
そして、冬は空気全体が乾燥することで、ウィルス性の病気が大流行しやすい環境になるので、インフルエンザなどウィルスの感染予防も含めて、一定の湿度を保つことと同時に、就寝中でも身体を冷やさないようにするなどの対策をしっかり行なってください。
妊娠初期の便秘について
妊娠初期は妊婦さんの体質によっては、つわりでの吐き気で食事量が極端に減ることがあります。
しかし、わたし達は普段、口にする飲み物以外に、食事中の固形物からも多く水分を摂取しています。
そして、固形物を摂れなくなることにより、腸内が水分不足になってしまい、その結果、便が硬くなり便秘になりやすくなります。
また、全体的な食事量が減ってしまうと、間違った食事制限ダイエットをしているのと同様に、身体の代謝機能が低下することで、大腸が排便のためにする蠕動(ぜんどう)運動まで低下して便秘になりやすくなります。
これらを防ぐため、つわりで吐き気がひどい時に、食事を摂ることは難しいかもしれませんが、なるべく食べられる食材があれば、少しずつでも食べて便秘予防をすることが大切です。
産休まで働くことでの精神的ストレス
そして、最近では産休前のギリギリまで働いている女性も増えてきています。
仕事をしていると避けられないのがストレスですが、ストレスによって自律神経の乱れが生じ、痙攣(けいれん)性便秘を引き起こすことがあります。
リラックスしている時は副交感神経が優位になり、胃や腸などの消化管の動きも促進されます。
妊婦さんはホルモンバランスの影響で、これまで以上に慢性的な便秘になりやすい状態です。
そして、ストレスによる精神的な負担を少しでも減らすためにも、1日の中での職場の緊張感から解きほぐされ、リラックスできる時間を持つことが大切です。
妊娠中期(安定期頃)の便秘について
妊娠期間が16週頃からは安定期と呼ばれる時期で、今まで以上におなかの赤ちゃんの胎動も活発になり始めます。
そして、ホルモンの状態としては、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量がだんだんと増加してきます。
今まで、卵巣からしか分泌されない黄体ホルモンが、おなかの赤ちゃんが大きくなるに連れて、胎盤からも分泌されるようになります。
この黄体ホルモンは、流産や早産を防いで妊娠を継続するため、子宮の動きを抑制しておなかの赤ちゃんを守るための重要な働きをします。
しかし、その一方で同時に腸の運動も抑制してしまい、腸内の水分を吸収する働きがあるため、水分不足で腸内の便が硬くなり、排便されてもウサギのような便がちょっとしか出なかったり、慢性的な便秘になりやすくなります。
また、安定期とも言われるこの時期ですから、身体がきつくなかったり、気分が良い時などは、無理のない範囲で近所を散歩するなどして、身体を動かすことも大切です。
適度に身体を動かすことも便秘解消や予防に効果的で、妊娠中の筋力低下が原因で出産後に発症しやすい、弛緩(しかん)性便秘の予防になります。
妊娠後期の便秘について
妊娠後期(28週頃)から、出産直前の臨月に多いのが、増大した子宮が腸を圧迫することによる便秘です。
出産間近には子宮の大きさは、妊娠前の20倍にもなり、黄体ホルモンの分泌量もさらに増加してきます。
腸管は大きな子宮に圧迫され便が詰まってしまったり、排便を促す命令が脳から出にくくなり、便秘になってしまいます。
特に、臨月が近くなると排便の時、おなかに力を入れていきむことで破水してしまい、予定日よりも早産になることもあります。
そして、どうしても便秘が解消されない方やいつもと違う腹痛を感じた場合、早めに産婦人科を受診して適切な処置をとることをお勧めします。
また、この時期から妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)を発症する方が増えるので、今まで以上にバランスの取れた食事などを意識することも大切になってきます。
妊婦さんとおなかの赤ちゃんの負担にならない便秘解消法は?
妊娠中の妊婦さんの便秘解消に下剤を使うことはできません。
しかし、便秘が原因で体調が優れなかったり、精神的なストレスとして負担になった場合には、定期健診の時など担当の産婦人科医に相談すると
などの便秘薬が処方されるので、医師や薬剤師の指示に従い服用されてください。ただ、マグラックスも一般的な薬と同じように、使用される妊婦さんの体質によっては、軽度の副作用が表れることもあるので、服用後の体調変化などには注意してください。
また、マグラックスなどの処方された便秘薬で副作用が表れる方、妊娠中に薬を服用することに抵抗感を感じる方などは、ヨーグルトなどよりも大腸内の善玉菌を増やす効率が良く、妊娠中の便秘解消でも即効性が高いと言われる などを試されるのも方法の1つです。
ほかにも、妊娠中は下剤服用と同じようにサプリメントの服用も良くないと思われがちですが、妊婦さんやおなかの赤ちゃんにも安全に、善玉菌を増やす効果のサプリメントなどもあるので、それらを利用する方法もあります。